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共同運動
神経生理学的メカニズムと
​その対策

共同運動は、悪なのか

共同運動したくない

けど、動かすと共同運動になる

こんな矛盾について説明

​そして、その対策を!!

公開日:2026/4/14

共同運動の悪いイメージ

▼共同運動は悪

一般に脳卒中(脳出血や脳梗塞など)を発症すると、リハビリが開始される.

麻痺してしまった脚や腕、手などを動かそうとすると、

「動かない」

そういう方がほとんどである.

 

次第に僅かにでも動きを認めるようになる.

 

そして、セラピストに言われる.

 

 

「動かしすぎ」

「もっと力を抜いて」

「ここは動かさないで」

「ここを動かしてって私言いましたか?」

「確かに、これまでの動かし方ではない」

 

​「それは私にもわかってる」

「だけど、動かなかった私の一部がまた動き出したんだ!」

 

「私は少しでもその気持ちに寄り添ってもらいたかったのに....」

そこで質問.

【動かせない中で、なんとか動かすことは悪のなのか?】

▼共同運動は経過である

発症前の動きとは異なる動き

動かしたい関節だけでなく、他の関節も動いてしまう

 

動かしたい方向に動かすことが難しい

 

 

こんな動きのことを、

【共同運動】(きょうどううんどう)という.

正式な共同運動の定義としては、

「複数の関節を独立して動かすことができず、決まった組み合わせで動いてしまう粗大な運動パターン」といわれている.

共同運動の定義を説明したイメージ

動かなかったカラダの一部が、なんとか動き始めた.

そう、なんとか動いているのだ.

 

なんとか動けば、誰だって細かいカラダのコントロールはできなくなってしまう.

 

少し考えてみれば、誰でも納得できるのではないだろうか.

全身疲労感のある状態で、針に糸を通せるだろうか.

 

マラソンを走った後に、筆記試験に合格できるだろうか.

もちろん中には鉄人もいるだろう.

だが、多くはない.

疲れていれば、ミスも増える.

 

「なんとかやる」というレベルでは、完成度は低くなってしまうものだ.

 

それがロボットではない、人間である.

▼共同運動を引き起こす要因は何か

はっきりとした原因は、不明とされている.

現在、はっきりとしていることは、

運動麻痺が生じた場合に、共同運動が生じることが多い

この程度である.

共同運動が生じる責任病巣がみつからないのである.

 

有力な仮説について説明していこう.

▼脳卒中による大脳の活動性の低下

運動麻痺が生じた場合に、共同運動が生じることが多いことは説明した.

脳卒中により、運動に関わる脳領域やネットワークに障害を受けると運動麻痺が生じる.

運動に関わるネットワークが障害されることで運動ができないために、脳の活動性は一時的に低下してしまう.

 

 

この脳の活動性の低下が、脳卒中による最も大きな障害である.

 

そして、脳の活動性の低下をさまざまな代償的な働きを生じさせ、共同運動へと誘われていくのだ.

▼大脳の活動性低下によるさまざまな問題

寝ている状態やリラックスしている状態を、活動性低下とはいわない.

大脳の場合は.寝ていても、リラックスしていても活動している.

 

起きている時とは活動が異なるだけである.

※大脳というのは、いわゆる「脳」のことである.

※これに対比して「小脳」というものがある.この小脳も非常に有能な脳の一部である.

脳卒中などの脳神経の損傷により、脳の活動が起きない/できない状態を「活動性の低下」という.

 

もっと詳しくいうと、「興奮性の低下」である.

ここで細かい表現なんて、どうでも良い.

とにかく脳が働けない状態になることだ.脳の障害によって.

この脳が働けない状態に陥ると、すごいことが起こる.

 

生物の生存本能の素晴らしさともいえよう.

なんとかして神経活動を再構築しようと、さまざまな部位が活動してくるのだ.

結論からいってしまえば、これが共同運動の正体であり、痙縮につながっていくものである.

▼損傷した脳の働き

脳卒中によって損傷を受けた側の大脳

 

いつもは自然と運動の指令を出すことができていた

だけども、いつの間にか出せなくなっている

 

脳卒中が生じた当事者自身もそう自覚するが、

 

脳自身も「あれ、できないぞ」となっている.

 

 

だから、もっと頑張ろうとするのだ.

 

 

大脳の運動に関連するエリアをフル動員して、動かそうとする.

 

本来は大脳は本当に一部だけの活動でも手や足を動かすことができる.

 

初心者ほど、いろんな部分の活動が生じてしまうものである.

 

だが、これまでは一部だけでできていた運動が、できなくなった.

 

ではフル動員しよう.

 

 

フル動員したら、細かいコントロールなんてできなくなってしまう.

 

でも動く方が先でしょ.

そして、いろいろな部分が一緒に動いてしまう運動が出来上がる.

 

 

共同運動の一因である.

運動関連の脳領域の活動増大したイメージ図

▼脳幹の神経活動が高まる

脳卒中の多くの場合は、大脳に損傷を受けることが多い.

もちろん脳卒中の内に大脳以外に生じる場合もある.

 

中脳や橋、延髄と呼ばれる脳幹に脳卒中が生じることもある.

 

ここでは、大脳が損傷された場合を説明していく.

脳幹と呼ばれる大脳の下に位置する神経の集まりがある.

 

ここは主に呼吸中枢や循環中枢があり、生命活動の根源といっても良い場所である.

その代わり、考えたりはしない.

ただ、カラダの調子をモニタリングしてほぼ自動的に調整してくれている.

 

そして、ここは姿勢をコントロールしている場所でもある.

 

重力に負けないようにバランスを取ったり、運動に合わせてほぼ自動的に踏ん張ったりしてくれている.

 

あくびによって、手が勝手にバンザイした経験はないだろうか.

 

麻痺があり、自分では手を動かせないけど、あくびをすると手が上がる、そんな経験がある脳卒中の当事者は少なくないはずだ.

これは脳幹と筋肉が神経の繋がりをもっている証でもある.

そう、残っている筋肉まで届いているルートをなんとか使おうとするのだ.

 

でも、本来は細かい筋肉の働きを制御するところではないために、うまく動かすことができない.

そして、いろいろな部分が一緒に動いてしまう運動が出来上がる.

共同運動の一因である.

脳幹エリアの代償的な活動をイメージした図

▼脊髄の神経活動の高まりと弱まり

脳から尻尾のように伸びている脊髄神経も無傷である.

この脊髄神経も、大脳の活動性の低下を保障しようとする.

 

脊髄には二つの反射が備わっている.

 

 

一つは、脊髄と筋肉だけで完結する反射ルート(短潜時反射)

 

もう一つは、脊髄と大脳と筋肉で完結する反射ルート(長潜時反射)

 

 

この二つのうち、二つ目の長潜時反射は、脳卒中によって損傷してしまっていることが多い.

(運動麻痺が生じている場合)

 

つまり、脊髄と筋肉だけの反射ルートは健在であり、少しでも大脳の活動を保障しようとする.

 

大脳からの指令に対して、大袈裟な反応をとることで保障するのだ.

 

少しの指令で、いつもの倍働きます!みたいな

 

大司令官のピンチには、俺たちが働きますよ!!!的なね.

この脊髄と筋肉だけの反射の代表的なものが「伸張反射」である.

 

少しでも刺激を受けると過敏に反応してしまい、うまく運動ができなくなってしまう.

そして、いろいろな部分が一緒に動いてしまう運動が出来上がる.

共同運動の一因である.

脊髄神経の代償的な活動をイメージした図

▼そうだ、反対の脳を使おう!

もう一つ、元気な脳があったではないか!!

灯台下暗し的な発見である.

 

反対側の大脳が頑張って働けば良いではないか.

生まれたばかりの赤ちゃんが、二つあるうちの一つの脳がうまく発達ができなかったとしても、大学に入学できるまでに成長することが証明されている.

だが、これまで盛んに神経を発達させてきたオトナの我々には、その自由度には限界がある.

それでも、生命の働きは素晴らしい.

 

反対側の脳から枝葉を伸ばして、麻痺側のカラダを動かそうとするのだ.

 

 

元々は麻痺のない側の運動を支配しているために、麻痺のない方も一緒に動いてしまう.

そして、いろいろな部分が一緒に動いてしまう運動が出来上がる.

共同運動の一因である.

また脳は集団で神経活動をすることで波をつくっている.

 

この波の活動によって、脳の神経集団は協調的な働きをみせることができ、スムーズな脳活動を実現させている.

 

アルファ波(目を休めている時)、ベータ波(運動や細かい作業の集中時)、ガンマ波(運動全般)、シータ波(寝ている時)、ミュー波(カラダを休めている時)、デルタ波(睡眠中)という奴らである.

 

この波の活動が、反対側の脳活動によって、脳全体としてうまくつくれなくなってしまう.

 

それでも、なんとか動こうとする.

そして、いろいろな部分が一緒に動いてしまう運動が出来上がる.

共同運動の一因である.

脳卒中の画像イメージ

▼脳の中ではなんとか動こうとした結果が、共同運動である

以上に説明してきたように、損傷した大脳、損傷を免れた運動エリア、脳幹や脊髄、反対側の大脳など、もっている神経活動をフル動員して、カラダを動かそうとした結果、細かくコントロールできない、粗大な運動になってしまう.

これが共同運動である.

 

 

これを超える必要があるのだ.

 

これには適切な運動の難易度設定が重要である.

そして、いかにカンタン過ぎない、難しすぎない課題に設定したとしても、脳に蓄積されるような頻度で反復することが必要である.

赤ちゃんだって、生まれて数ヶ月はほとんどの動きのパターンは一緒である.

 

あれを共同運動といっても、大きな間違いではないと私は思う.

発達段階の赤ちゃんの様子

でも赤ちゃんは泣きながら、眠りながら、たくさん手足を動かしている.

無駄に動かしている.

 

あなたは無駄に手足を動かしているだろうか.

そう、無駄は無駄ではない.

共同運動は、悪ではない

 

なんとか動こうとしている結果である

 

共同運動は、麻痺の到達点ではない、経過である

 

そこからもっと発展させ

 

細かい制御ができるようになるために

 

無駄に動かそうではないか

いろんな動きに挑戦してみようではないか

 

メリット、効率、コスパ、タイパも大切だが

 

 

初心にかえってみては、いかがだろうか.

「ムダに感じる運動も立派なトレーニング」

共同運動の神経生理学的メカニズムを動画で学びたい方はコチラから

​▶︎▶︎▶︎https://youtu.be/1vC0dB_PT40

共同運動のYouTubeのイメージ

​執筆者

小宮良太​​

 経歴:

 理学療法士歴15年

 大学病院、リハビリ病院、クリニック、訪問リハビリの勤務経験あり

 ラクシオン片麻痺専門トレーニングジム代表

 脳卒中認定理学療法士

 スポーツ理学療法認定理学療法士

​ 登録理学療法士

 神奈川県DWATチーム員

​ 神経理学療法学会所属

脳卒中へのアプローチは、脳を鍛えることこそが原理

麻痺は、小手先の技術では克服できない

脳を鍛えるには、動くんだ

動くことが、動物である我々ができる

唯一の手段であり、

​唯一の原理である.

「限界なんて、他人の都合だ」

ラクシオン代表の小宮良太

脳卒中専門の理学療法士が考案
ニューロトレーニングを軸とした
麻痺の手再建
Hand UPトレーニング

まずはあなたも体験しよう

※WEB予約は体験コースのご予約のみ

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