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脳血管障害とは?

「脳血管障害」とは、一般的に「脳卒中」と呼ばれる病気の総称です。

脳の血管に何らかの異常が起き、脳細胞に十分な血液が届かなくなったり、出血によって脳が損傷を受けたりすることで発症します。日本においては、介護が必要になった原因の主要な一つであり、社会生活に大きな影響を及ぼす病気として知られています。

▼脳血管障害の主な種類

 脳血管障害は、その病態によって大きく3つのタイプに分けられます。

  • 脳梗塞(虚血性脳卒中) 脳の血管が詰まることで、その先の脳組織に血液が供給されなくなり、脳細胞が壊死してしまう病気です。脳卒中の中で最も多く、全体の約7割を占めます。

   ◻︎アテローム血栓性脳梗塞:

     動脈硬化によって太い血管にコレステロールなどがたまり、血栓ができて詰まるタイプ。

   ◻︎心原性脳塞栓症:

     心臓内でできた血栓(特に心房細動が原因)が脳に飛び、血管を詰まらせるタイプ。急激に重篤な症状が出やすいのが特徴です。

   ◻︎ラクナ梗塞:

     脳の深部にある細い血管が詰まるタイプ。比較的小さな梗塞で軽症なことも多いですが、繰り返すことで多発性に進行することもあります。

  • 脳出血(出血性脳卒中) 脳の内部にある血管が破れて出血し、脳組織を圧迫したり損傷したりする病気です。高血圧が主な原因で、出血した場所によって症状が異なります。例えば、被殻(ひかく)や視床(ししょう)からの出血が多く、それぞれ片麻痺や感覚障害、意識障害などを引き起こします。

  • くも膜下出血 脳の表面にある「くも膜下腔」という部分に出血する病気です。多くの場合、脳動脈瘤(脳の血管にできたこぶ)が破裂することで起こります。特徴的な症状は、「バットで殴られたような」と形容される突然の激しい頭痛、吐き気、嘔吐、意識障害などです。

▼脳血管障害の主な症状

 脳血管障害で現れる症状は、脳のどの部分が損傷を受けたかによって異なります。主な症状としては、以下のようなものがあります。

  • 運動障害:

    • 片麻痺: 手足の片側が動きにくくなる、力が入りにくい(最も多い症状)。

    • 運動失調: 手足が震える、ふらつく、思うように動かせない。

  • 感覚障害: 片側の手足や顔のしびれ、感覚が鈍くなる。

  • 言語障害:

    • 失語: 言葉を理解できない、言葉が出てこない、文字が読めない・書けない。

    • 構音障害: ろれつが回らない、声が出しにくい。

  • 意識障害: 意識がもうろうとする、呼びかけに応じない。

  • 高次脳機能障害: 認知症、記憶障害、注意障害、半側空間無視など。

  • その他: 頭痛、めまい、吐き気、飲み込みにくい(嚥下障害)、視野の異常(半盲)など。

⚠️ 脳卒中のチェック方法(FASTs)

これらの症状は突然現れることが多いため、異変を感じたらすぐに救急車を呼ぶなど、迅速な対応が非常に重要です。

  • Face(顔の麻痺):顔の片側がゆがむ

  • Arm(腕の麻痺):片方の腕が上がらない

  • Speech(言葉の障害):ろれつが回らない、言葉が出にくい

  • Time(時間):上記症状がでた時刻を確認する

 

これに加えて、R-accion.ではSpeed(速さ)を付け加えます。なぜなら、脳梗塞の場合、症状が現れてから治療開始までの時間が非常に重要なんです。

もう一度確認です。

  • Face(顔の麻痺):顔の片側がゆがむ

  • Arm(腕の麻痺):片方の腕が上がらない

  • Speech(言葉の障害):ろれつが回らない、言葉が出にくい

  • Time(時間):症状がでた時刻を確認

  • Speed(速さ):すぐに救急車を呼ぶ

 

FASTs(ファストエス)と覚えましょう!!

 

▼脳血管障害の危険因子

 脳血管障害の発症には、様々な危険因子が関わっています。これらの因子を管理することで、発症や再発のリスクを下げることができます。

  • 高血圧: 最大の危険因子です。

  • 糖尿病

  • 脂質異常症

  • 心房細動(不整脈)

  • 喫煙

  • 過度の飲酒

  • 運動不足

  • 肥満、ストレス、加齢なども危険因子となります。

脳卒中認定理学療法士の小宮から

「FAST」など、脳卒中の典型的な症状を覚えておきましょう。

顔のゆがみ、腕の麻痺、言葉の障害など、少しでも異変を感じたら、迷わず救急車を呼ぶ勇気を持ってください。脳の細胞は時間との勝負です。発症から治療開始までの時間が、後遺症の程度を大きく左右します。素早い行動が、未来のあなたを守る鍵となります。

「FASTs(ファストエス)」と覚えてください。

 

 高血圧、糖尿病、喫煙など、脳血管障害には多くの危険因子があります。まずはご自身の生活習慣を見つめ直し、改善できる点から具体的に行動を始めましょう。

 特に運動不足は現代病といっても過言ではありません。そして、スマホの普及とSNSの拡がりにより、夜遅くまでスマホに釘付けになっていませんか?

 簡単なことから、できることから始めましょう。

小宮良太

【参考にした情報源】

岡庭豊:病気がみえる vol.7 脳・神経.第2版.株式会社メディックメディア.2021

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