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UpDate 脳

更新日:2023年12月19日

今回の内容の参考にした論文や書籍はこちら💁


【脳を司る脳 最新研究で見えてきた、驚くべき脳のはたらき 毛内拡,ブルーバックス】


【THE BRAIN THAT CHANGES ITSELF(邦題:脳は奇跡を起こす) ノーマン・ドイジ,講談社インターナショナル】


【中澤 公孝、 パラリンピックアスリートにみられる脳の再編、上原記念生命科学財団研究報告集, 32 (2018)】



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私は13年目の理学療法士


大学病院、回復期リハビリテーション病院を経て


多くの脳卒中患者さんのリハビリテーションに携わってきた


私、思う


患者さんが根本的に困っていることはみんな同じ



これまでのように

身体を、感情を、思考をコントロールできない


麻痺になり俯く男性


これ以外で困っている方がいたらご連絡いただきたい


根本を辿ればここに突き当たると思う




ただし、問題や困っていることが似ていても、


その問題を解決するためのアプローチが全く同じになったことはない


これは自負できる


同じ状態の方に効果が出たから、この方にも効果的なはず!


だが、現実はそうはいかない


私は何度もそう思って失敗し、修正し、この繰り返しだ


しっかりと評価すると、同じ状態ではないのだ


細かく評価しないとわからない



本当に脳って難しい


本当にリハビリって難しい



まだまだ知識も技術も必要なんて


一体いつまで勉強し続けなければいけないのか


と、勉強すればするほど思えてくるから


産まれたて1年目ひよっこ理学療法士の頃の方が幸せだったかもしれない




どうして脳のことを難しいと感じるのだろうか...?


UpDate 脳

大脳の外表面

今回の内容の参考にした論文や書籍はこちら💁


【脳を司る脳 最新研究で見えてきた、驚くべき脳のはたらき 毛内拡,ブルーバックス】


【THE BRAIN THAT CHANGES ITSELF(邦題:脳は奇跡を起こす) ノーマン・ドイジ,講談社インターナショナル】


【中澤 公孝、 パラリンピックアスリートにみられる脳の再編、上原記念生命科学財団研究報告集, 32 (2018)】




脳はブラックボックス


未知なる脳の不思議
未知なる脳の不思議

ブラックボックスとは何か?


そこにあることがわかっていても、


実際に機能しているところを目で確認できない、


よくわかっていないものをブラックボックスという


だが、このブラックボックスの中身の正体を知るすべがある


例えば、大きな段ボール箱を想像してほしい


中に何が入っているかを知りたかったら、


箱を揺らしたり、持ち上げたりして


重いものか?


中のものは一つか二つか?


小さいものか大きいものか?と推察しないだろうか



つまり、こちらから何かを仕掛けて反応を見るという方法だ


だから、脳卒中の場合も症状を捉えて、脳障害への理解が進められてきた


歴史は脳障害の症状が出た人の死後、


実際に脳を解剖することで研究が進んだ


その結果、【機能局在】という考え方が拡まるようになった





【機能局在】を簡単に説明すると、


例えば、


喋る場所は脳のココ


聞く場所は脳のココ


見る場所は脳のココ


以上のように機能別に場所が決まっているというもの



中枢神経の構成について



そしてその機能局在論をもとに作られたのが



ペンフィールドの【脳の小人(ホムンクルス)】
感覚と運動のホムンクルス
左は感覚領域、右は運動領域 ともに手の領域が非常に大きいことがわかる


この人形が表現しているのは、


全ての感覚や運動は、


脳が等しく操作しているわけではない、ということ


手の運動において、脳の感覚、運動の神経細胞が非常に多く動員されていることがわかる



さらに神経生理学は発展し、


遺伝子操作や薬物により脳や神経の働きを抑制したり興奮したりすることで、


脳の働きを研究することができるようになりました


そこで注目され始めたのが、神経シナプス



シナプスとは神経細胞同士のつながりを表します


様々な神経細胞同士がシナプスすることで限局した働き(機能局在論)ではなく、


多くの脳細胞の働きによって、


その脳機能は担っている【ネットワーク論】が提唱されるようになりました



その結果、昨今ではネットワーク理論が重要視されています


脳はたくさんの神経細胞から情報をあつめ、統合し、判断し、運動を仕掛けます



どこかが障害された場合でも、


運動がうまくできなくなるということです


神経細胞同士のシナプス
シナプスイメージ図


ネットワークのどこが障害を受けても、


運動ができなくなるということです





脳に障害を受けた場合、


このネットワークの再構築、または新構築をしていく必要があります





もう少し具体的に表現すると、


手の感覚が乏しく感じにくいなら、


その感覚を補うように目や耳の感覚を使って、


運動をトレーニングしていくことが大切です





平衡感覚が障害された女性


平衡感覚は耳にある前庭器官というところで、


頭の傾きを捉え、


3次元空間的に体の動きを察知しています



この前庭器官が障害され、


立っていることがままらなくなってしまった女性がいました



彼女は常に地震が生じているような状態で


全く立っていることができません



そこで研究者は頭の傾きが感知出来るよう


頭の傾きの情報を捉えるためのヘルメットと、


傾きを知らせるためのプラスチック板を彼女の舌の上に潜ませた




頭が後方へ傾くとヘルメットが察知し、


プラスチック板の後方に泡のような電気刺激が生じる




こうして耳では頭の傾きが感知できなかったが、


ヘルメットをつけ、


舌を通して頭の傾きが感知出来るようになった彼女は立てるようになった


歩けるようになった


ジャンプしたり、


踊れるようになった

脳機能の向上は花を咲かせる



障害された感覚ネットワークではなく、


新たにネットワークを構築することに成功した一例

(詳細は「脳は奇跡を起こす」をご確認ください)






脚を切断した人の脳


ラクシオン.のお客様はほとんどが脳の障害によって半身を麻痺された方


実際、手や脚を怪我したわけではない


手や脚そのものは元気で健康的なはず(萎縮や浮腫などの問題はあるが...)




では、脚を切断された方の脳はどのようになっているでしょうか?



麻痺の方とは違い、


脳は健康だけど手や脚の障害が生じてしまった方の脳の働きはどのようになっているのだろうか?



・義足のパラリンピックメダリスト(MR)

・義足だが非競技者

・健常だが競技者


の3名を比較した脳画像だ


アスリートと脳の比較
右脚を切断 MR:パラリンピックメダリスト


本来は右膝を動かした場合は、左の脳が働き活動を認める


しかし、義足のパラリンピックメダリストは両側の脳が活動している


これは義足を使用している非競技者にも、健常の競技者にも認めない脳活動である



脳のネットワークが最大限活用されていると考えられる


やはり通常のリハビリではなく、


鍛錬、トレーニングというレベルで運動を継続する必要がありそうだ

鍛錬、トレーニング




ネットワーク論はまだまだ可能性がある


現在、最も注目されているのが


シナプスによる神経活動ではなく、


シナプスを使わない神経活動



それは細胞間隙で起こる


細胞と細胞の隙間で


ただの空間として処理されていた場所だ




近年、この細胞間隙への治療が脳卒中の急性期治療に重要だと考えられ始めてきた


この研究が進めば、r-TPA(血栓融解剤)に続き、


急性期の脳治療が激変するかもしれない...


今後の研究に期待しましょう

研究者


医学論文や文献、書籍、体験録などを参考に【専門情報】をお届けいたします


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Stronger Than Stroke 負けない、麻痺には。

「できない」を背負っている人をゼロに。

  片麻痺専門トレーニングジム R-accion.

代表 小宮 良太



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