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執筆者の写真良太 小宮

歩きのためのチェックポイント

更新日:2023年12月19日

前回に引き続き、


「回復期脳血管障害患者の理学療法ガイド」の勉強会にて学んだことについてお伝えしようと思います



回復期脳血管障害患者の理学療法ガイド資料



一人一人の理学療法を


よくよく考えてみると、


「理学療法ガイド」


なんてスゴイ勉強会なんだろう


と13年目にもなると思う


はい、嫌味です


理学療法ってガイドに沿ってできるほど簡単なものじゃない


麻痺の方、


一人一人が全く違う症状


一人一人が全く違う目標


一人一人が全く違う想い


一人一人が全く違う人生を背負っている


だから、


理学療法だって同じになるはずはない


ガイドに沿って理学療法をしたらみんな同じだ


ガイドを参考に、


うまく活用して


一人一人に合った理学療法を実践することが求められているわけです


登山者



人は歩く


さて、今回は脳血管障害による麻痺の方の歩きについてお伝えしようと思います



歩きって大切ですよね


多くの方達にとって意識、記憶がある頃からずっとできていたこと


歩けることが「人間」「自分らしい」と考える方までいるのではないでしょうか


歩くことは素晴らしい



歩きのメカニズム


私たちは多い時には10,000歩以上、


少なくとも1,000〜2,000歩は毎日歩いていませんか


これだけの運動を繰り返すわけですから、


なるべく消費するエネルギーや筋力は少なく済むように設計されなければなりません


私たちは進化、発達の過程で重い重い「脳」を一番高いところに保持しています


だから、バランスが悪いんです


東京タワーだって、スカイツリーだって一番上は軽そうですよね?


人間はその逆なんです


私たちの歩きは、


バランスが悪い中でうまくエネルギー消費を抑えながら遂行されています



バランス
こんなバランスありえない、、、



倒立振り子理論と6決定因子論


その中で現在提唱されている代表的な歩きのメカニズムが、


「倒立振り子理論」と「6決定因子論」です


なんだか嫌気がさしてくるネーミングですよね


私もアレルギーが出てきました


なるべく簡単に説明したいと思います


わかりにくければ飛ばしてください





倒立振り子理論


これは歩行中に生じるエネルギーを位置エネルギーと運動エネルギーに分けて考える理論です


エネルギー保存の法則に基づいて考えられており、


位置エネルギーと運動エネルギーは変換されながらエネルギー量を維持していくということです


物理の授業風景
物理学の授業風景?




例えばジェットコースターのコースが波を打つようなコースだったとしましょう


ジェットコースターの風景
ジェットコースター


初めは高い位置から落ちることで加速していきます


この落ちる時が位置エネルギーによるものです


そして徐々に位置エネルギーが運動エネルギーに変換され


波の一番下で加速度が最大となり運動エネルギーも最大となります


歩行はジェットコースターのように上下運動をしている


次はこの運動エネルギーによって波の最も高いところまで登っていきます


そして、また波の高いでは位置エネルギーが最大となり、落ちていく


歩行はジェットコースターのように上下に運動している


これが繰り返されます


私たちの歩いているとき、


体感としてこのような感じはないかもしれません


ですが、私たちの重心の位置は高低を繰り返しながら歩いているのです


重心の高低によるエネルギー変換に合わせて脚が振り出されることから


振り子運動となるわけです


これが倒立振り子理論の簡単な説明です



6決定因子論


よくわかりましぇーん


でも簡単に説明すると簡単です


6つの鍵になる運動要因によって、身体のブレ(重心移動)を最小限にする動き方、歩き方が最も効率的で、


身体のエネルギーを最小限にすることができるでしょ?という理論です


つまり、身体の揺れが少なく、あまり動いていないような歩き方を目指す理論です


ランウェイを歩くモデルさんたちはこの理論から外れますね...


歩行の6決定因子論とモデルウォーク



歩きのためのチェックポイント 1


この2つの理論に共通している考え方があります


それは、


蹴る脚 と 踏ん張る脚 があること


この言い方を変えると、


進む力 と 止める力 です


この2つの力がバランスよく発揮されることで


私たちは前へ、そして横へ、後ろへ移動することができます



歩けなくなると、


私たちはどのように歩いていたかわからなくなります


ほとんど無意識で歩いていますから



自転車で考えるとわかりやすいかもしれません


ブレーキをアクセルで歩行は成り立つ


進む力 : ペダルを漕ぐ


止まる力 : ブレーキ


この2つがないと進まないし、


何かにぶつかりますよね?



でも人間はすごいんです


この2つの力のバランスが崩れていても歩けてしまうんです


もちろん良い歩き方とは言い難いです


ですが歩けます


もっと良い歩き方を!とお考えの方は


この2つの力について考えてみてください


どちらかが強すぎたり、弱すぎたりしているかもしれません




麻痺の方の特徴的な歩き方


麻痺の方に特徴的な歩き方について紹介します


これは装具の有無に関わらず生じやすい歩き方のパターンになります


代表的なものを2つ紹介します


1 エクステンションスラスト


2 バックリングニー



▼エクステンションスラストとは、


足が地面についた瞬間に膝が伸び切ってしまう歩き方です


ももの前の筋肉(大腿四頭筋)の働きが弱い方に多い歩き方です


どんなトレーニングが効果的かというと、


ももの前の筋肉を鍛えるために、


膝を伸ばしたまま脚を持ち上げたり、


スクワットが良いと思います


エクステンションスラストの改善のためにスクワットをしよう
これくらい笑いながらスクワットしよう!



▼バックリングニーとは、


脚に体重がかかり踏ん張ろうとした時に膝が曲がってしまう歩き方です


こちらは太ももの後ろ側の筋肉(ハムストリングス)の働きが強すぎる方に多い歩き方です


どんなトレーニングが効果的かというと、


ももの裏を伸ばすようなストレッチや、


ヒップヒンジといって後ろのももを伸ばしながら行うスクワットが効果的です


ストレッチは優しく



歩きのためのチェックポイント 2


代表的な2例を挙げましたが、


様々な歩き方に共通している点は、


「重心が低い」


ジェットコースターを例えて説明しましたが、


私たちの歩き方は重心を高くする必要があります


ですが、


膝が曲がってしまったり、


うまく踏ん張れなかったりすることで、


重心がどんどん低くなってしまいます


加えて恐怖心や不安感があると


どうしても下を向きたくなります


そうすると腰が曲がり、


さらに重心は低くなってしまいます


これではとても疲れやすい歩き方になってしまいますよね?


あなたの歩き方はどんな特徴がありますか?


ぜひ、動画に撮影してみたり


鏡で見てチェックしてみてください


歩きをチェックしてもらおう


次回は「バランス」について専門情報をお伝えしようと思います



最後までお読みいただき、ありがとうございました。





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「できない」を背負っている人をゼロに。

  片麻痺専門トレーニングジム R-accion.

代表 小宮 良太



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