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執筆者の写真良太 小宮

脳の自由エネルギー原理

更新日:2023年12月19日

参考にした文献・資料はこちら💁

【脳の大統一理論(自由エネルギー原理とはなにか),岩波科学ライブラリー299】

【内藤栄一,超一流サッカー選手の脳活動の特殊性.計測と制御 56巻 8号 2017年8月号】

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理学療法士になって13年が経つ


脳の勉強は興味深く、そして本当に深い


脳の自由エネルギー原理


そして勝手に納得してしまっていることが、たくさんあることに気が付く


理解できていないのに、これはこう!と決めつけて覚えていることがまぁ多い


その一つが大脳の中にある運動野だ


運動野は運動の指令を筋肉に出すと教わったし、イマ多くの書籍などでもそのように記載されている


実際に、ネイマール(Neymer)の脳の働きをfMRI (Functional MRI)を用いて記録した研究を紹介しよう


サッカー選手がボールを蹴る


fMRIの撮影中は体を動かすことができないので、


ネイマールは口頭での指示を受けて、


足首を動かすイメージをする


すると、fMRIがネイマールの脳の活動を測定することができる



脳画像の比較
白く光っている部分が脳の活動部位


ネイマールがサッカーボールを蹴る時の脳の活動はとても小さい


他のプロサッカー選手と比較してもとても少ない


水泳選手でも、一般の方(アマチュア)でも足首を動かそうとすると脳の活動は大きく、無駄が多い




脳の活動は少なく、


パフォーマンスは正確に


これがプロの中でもトップレベルの脳なのだ




さて、ネイマールの脳の活動からもわかったように


運動しよう!と考え、動き出す時には大脳の運動野というところが活動している




活動していることがわかったが、


どんな活動をしているのか?



私はこのように習ったと記憶している



前頭葉によって足首を動かすことを決め、


前頭葉が運動の指令を送るように運動前野と補足運動野へ情報を伝える


運動前野と補足運動野は必要な情報を脳内から集め、運動野が指令を出しやすい状態にして


「運動野さん、あとこの筋肉とこの筋肉のスイッチだけONの指令出して貰えば万事OKです!」と運動前野と補足運動野は運動野へ情報を伝えます


有能な部下、補足運動野や運動前野のイメージ


できる部下がいると頼もしいですよね


「おぉ、そうか、いつも悪いね、じゃ私は筋肉だけ動かせば良いのね、ハイハイ、任せなさい、そりゃっ!!!」


と運動野さん。


そして、実際に足首を動かした結果、



「ありゃ、今のは強く力を入れ過ぎだよ」と小脳さん


そりゃいかんという先生

小脳さんは、この「強すぎだったよ」という情報(誤差信号)を運動野へ送り、運動野はプログラムの修正を行います



これをフィードバック学習といいます


私はこんな風に学校でも習いました、専門書にもそう書いてありました


だから、そう思っていました





脳の自由エネルギー原理


脳の中をイメージした自然エネルギー

これまでの脳の運動プログラム原理では、脳のエネルギーを使い過ぎてしまっていないか?


そもそも運動野には外部からの入力を受ける部位がない(Ⅳ層がない)ため、誤差信号(強過ぎたよという情報)を受け取ることができません (※諸説あるようです、まさに研究中ということですね)


つまり、前述したフィードバック機構が働きにくいということですね


では、運動野をどうやって運動プログラムの指令を適切化しているのだろう




運動野は筋肉に「動け!」と指令を出しているのではなく、



運動野は筋肉に「未来の筋肉の筋感覚と一致させてください」と指令を出している


「未来の筋肉の筋感覚」とは < 運動終了時の筋肉の感覚 >


つまり、足首を動かす力が入った時の感触だ


この「未来の筋肉の筋感覚」と一致するように筋肉を動かしてね


あとは脊髄くん、筋くん任せたよ


と、運動野は指示を出している



この指示によって出力の調整は脊髄がしてくれるため、


運動野が細かい指示も出す必要がない



上司の細かい指示ほど嫌なものはありませんよね?? w



そして、脳と身体の効果器はこの運動を繰り返しながら、


運動野からのざっくりとした指示に対して、


すぐに調整された動きが取れるよう脊髄、筋は学習していきます


ざっくりとした指令に対して最小の運動で達成できるように調整します


これが脳の自由エネルギー原理の予測最小モデルといいます



自由エネルギー原理の2つのポイント


一つ目は感覚を強調したり、減弱させることで、


運動野からの「未来の筋肉の筋感覚」という指令に近づけることができます



筋感覚の指令が届くわけですから、


ちょっと指令の筋感覚には足りないなぁ、強過ぎたなぁという場合には


ドーパミンの放出によって感覚を増減することを指します



ドーパミン放出


つまり、運動野の見えないところで少し色をつけちゃおうっていう忖度ですね


そうすれば指令通りだし、問題なし!


ちなみにこのドーパミンは驚いたり、感激したり、感情が乗っかると放出されやすく、


ドーパミンの放出される濃度やタイミングによって、


運動学習が進むことが研究結果からわかっています





二つ目は、そもそも運動野による「未来の筋肉の筋感覚」をハードル下げようとすること


うまくこの筋感覚にならないなら、運動野からの指示変えます!もうちょっと簡単にします!!っていうこと


みんなできないので、もう少し簡単な指示にします!的な

指示変更します


こうやって、脳は忖度と柔軟な指示の変更という形を取ることで、最も納得がいき、遂行できる指示を出していく


このようなモデルを脳の自由エネルギー原理といいます



ここからが本題


では麻痺になってしまうとこの自由エネルギー原理的にどのように影響してしまうのでしょうか


ここからは上記の働きから考えた私の仮説です




「歩いてください」というお伝えしたとします


山肌を歩く女性

運動野は「脚を前方に運ぶ際の筋肉の感覚」という指令を筋肉へ伝えます


ですが脚の筋肉は麻痺により動きません


脊髄は運動野から届いた指令を一致させようとします


そのため何度も試みますが、麻痺のために「脚を前方に運ぶ際の筋肉の感覚」を得られることができません


では、ドーパミンによってその感覚を強調しよう!


と試みますが、感覚も麻痺による影響で感じづらくうまく作用しません


では、


「脚を前方に運ぶ際の筋肉の感覚」これはうまくできないから、この指令はナシにしよう!!By 運動野


ちょっと待ったと手が挙がっている


麻痺の方の脳内で、おそらくたくさんこの現象が生じています




動かさないという運動学習(Learned Non Use)


動かさないという運動学習(Learned Non Use)を


脳が勝手に行います


この働きが麻痺の回復に非常に邪魔です


これから麻痺の手や脚を動かしたいのに、


脳が勝手に、ここは身体が動かないのでこれ以上は動きません


と判断し、決めつけてしまいます



そうならないように、動かなくても動かし続けるようにしましょう


・反対の手を使って、力が入っていなくても動かし続ける


・自主トレアシストロボットを使って手指を動かし続ける


・脚にはしっかりと体重をかける、などなど


動かし続けることで、運動感覚を脳へ入力し続けることです




さぁ、ラクシオンとともにまだ見ぬ景色まで共に走りましょう


美しい山々の景色


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  片麻痺専門トレーニングジム R-accion.

代表 小宮 良太


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