【保存版】麻痺のタイプ別「歩き」の処方箋.緊張を「入れる」べきか「抜く」べきか?
- 良太 小宮
- 5月14日
- 読了時間: 5分
更新日:5月18日
公開日:2026/5/15
執筆者:ラクシオン代表 小宮良太

脳卒中を患い、歩行の再獲得を目指してリハビリに励む中で、「なぜ自分の足は思うように動かないのだろう?」と行き詰まりを感じていませんか?
実は、麻痺によって歩きにくい状態には、大きく分けて**2つの「真逆」のパターン**があります。
足がだらんと柔らかすぎる*「弛緩(しかん)型」**
足がツッパリすぎて固まる*「過緊張(かきんちょう)型」**
この2つは、原因も、必要とされるリハビリも全く異なります。自分の足がどちらのタイプかを知ることで、「緊張を『入れる』べきか、それとも『抜く』べきか」という、迷いがちなリハビリの方向性が明確になります。
今回は、それぞれのタイプに合わせた、脳の学習能力(神経可塑性)を引き出すための最新アプローチを整理しました。
認定PTによる片麻痺タイプ別のリハビリ処方箋
パターン1:足に緊張が足りない「弛緩(しかん)型」
弛緩型は、筋肉に十分な張り(緊張)がなく、地面を支える力が足りない状態です。
抱えている課題のメカニズム
伸張反射が使えない:
筋肉が引き伸ばされた時にパッと戻る反応が弱く、足がぐにゃっとしてしまいます。
入れやすい場所にだけ緊張を高めてしまう:
足全体の緊張が低いため、唯一力が入る足部などに過度な緊張が集中してしまうことがあります。
脳を「起こす」ためのリハビリ処方箋
「眠っている筋肉を呼び覚まし、適度な張りを作っていく」ことが優先です。
*振動刺激(筋腹):力を入れたい筋肉の真ん中(筋腹)に振動を与え、脳へ「ここを使って!」と信号を送ります。
*環境設定と関節数の制限:装具や弾性包帯で収縮が欲しい筋肉をサポートします。また、膝立ち(ニーリング)などで動かす関節の数をあえて制限し、特定の筋肉を使いやすくする環境を作ります。
*外部刺激の活用:EMS(電気刺激)や、徒手での圧迫刺激により、筋肉の存在を脳に再認識させ、能動的な収縮を引き出します。
パターン2:力が入りすぎてしまう「過緊張(かきんちょう)型」
過緊張型は、いわゆる「ツッパリ」や「痙縮(けいしゅく)」が強く、動かそうとすると余計に硬くなる状態です。
抱えている課題のメカニズム
過剰な反射:
筋肉が少し伸びただけで、脳からのブレーキが効かず過剰に反応(伸張反射)して固まってしまいます。
恐怖心の影響:
「転ぶかもしれない」という不安が脳を守備本能に走らせ、さらに体を硬くさせています。
脳を「なだめる」ためのリハビリ処方箋
「緊張を抜き、正しい感覚を脳に上書きする」ことが重要です。
*振動刺激(筋腱移行部):
弛緩型とは逆に、筋肉と腱の境目(根元)に振動を当て、過剰な緊張を落ち着かせます。
*安心感の提供とコンディショニング:
恐怖心がある場合、軽く手すりに触れる(ライトタッチ)だけでバランスが安定し、足の力が抜けることがあります。また、フロスバンドやストレッチで筋の状態を整え、異常な感覚入力を抑えます。
*不活動の改善と脳内モデルの再構築:
筋肉を伸ばした状態(伸長位)で体重をかけ、その中で筋肉を動かす練習をします。これにより、「突っ張らなくても支えられる」という感覚を脳に再学習させます。
まとめ:自分の足と「対話」することから始めよう
リハビリは、無理に体を動かすことだけではありません。自分の麻痺のタイプを知り、それに見合った適切な刺激を脳に与えることが、歩行再獲得への近道です。
*弛緩型なら 緊張を「呼び覚まし」、力が入る場所を「教える」
*過緊張型なら 頑張りすぎている緊張を「なだめ」、力の抜き方を「思い出させる」
このように、自分の足と「対話」するような意識で、一歩ずつ進んでいきましょう。
💡 認定理学療法士からのアドバイス
自分の足がどちらのタイプか、あるいは両方の要素が混ざっているか、判断に迷う場合は、お気軽にセラピストにご相談ください。
脳の可能性は無限です。今のあなたに最適な「処方箋」を一緒に見つけていきましょう。
▼▼具体的な内反に対する考え方と、トレーニング方法はこちらの動画より▼▼

執筆者
小宮良太
片麻痺専門トレーニングジム ラクシオン.代表
登録理学療法士
脳卒中認定理学療法士
スポーツ理学療法認定理学療法士
大学病院、リハビリ病院、クリニック、訪問リハビリなど臨床経験15年以上
2022年4月より独立 ラクシオン開業(自費リハビリ 神奈川)
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