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【理学療法士解説】そのリハビリ、ただの準備運動になっていませんか?関節可動域トレーニングの本当の価値

  • 執筆者の写真: 良太 小宮
    良太 小宮
  • 12 分前
  • 読了時間: 6分

執筆者:小宮良太

公開日:2026/7/12


セラピストがクライアントの関節可動域練習に取り組む様子

「まずは固まった関節をほぐすために、動かしていきますね」



病院や施設でのリハビリで、そんな風に言われて手足を動かしてもらった経験はありませんか?あるいは自主トレとして、とりあえず毎日手足を動かすだけになっていませんか?



ここで一つ、大きな誤解を解きたいと思います。


リハビリにおける「関節可動域(かんせつかどういき)トレーニング」は、単なる準備運動(ウォーミングアップ)ではありません。



実は、この関節の運動をどれだけ「こだわって」行うかによって、その後の麻痺した手足の動きやすさが180度変わってしまいます。



今回は、臨床15年以上の理学療法士の視点から、関節を動かすことの本当のメリットと、麻痺を改善するための正しい取り組み方について徹底的に解説します。



1. なぜ「関節を動かす」だけで体が軽くなるのか?3つの隠されたメリット


人間の関節は、本来「スケートリンクの上を滑るよりもツルツル」※で、驚くほど滑らかに動くようにできています。しかし、麻痺によって動かさない時間が続くと、この滑らかさが失われてしまいます。


※生体関節の摩擦係数は非常に小さく、0.002〜0.02程度と報告されている。これは氷上のスケート滑走時(0.03)よりも低く、関節の潤滑性がきわめて優れていることを示す。

参考ページ:



関節可動域トレーニングを行うことには、単に「関節を柔らかくする」以上の、重要な3つの役割があります。


① 軟骨に栄養を届ける「滑液(かつえき)」の充填

関節の表面を覆う軟骨には、血管が通っていません。ではどうやって栄養を取り入れているかというと、関節を満たしている「滑液」という潤滑油からです。 


関節を適切に動かすことで初めて、この滑液が関節全体に行き渡り、軟骨に栄養が届けられます。動かさない関節は、潤滑油が切れてサビついた機械のようになってしまうのです。



② 筋膜(Facia)と筋肉のアンバランスを是正する

私たちの体は「筋膜(Facia)」という膜で全身が保護され、パッケージングされています。麻痺が生じると、特定の筋肉ばかりが緊張し、この筋膜や筋肉の長さに不均衡(アンバランス)が生まれ、関節可動域の制限の一因になります。※


※近年、筋膜(fascia)は運動器の生体力学特性に影響する組織として注目されており、加齢や病的変化によりコラーゲン架橋の増加、肥厚、弾性低下が生じうる。こうした変化は筋膜間の滑走不良や癒着を介して、関節可動域制限の一因となる。

参考ページ:



 関節を丁寧に動かすことは、この筋膜のコンディションを整え、筋肉の突っ張りのアンバランスをリセットする効果があります。



③ 運動感覚受容器(脳へのセンサー)を刺激する

関節の周囲には、脳へ「今、関節がこれくらい動いているよ!」と伝えるセンサー(受容器)がギッシリ詰まっています。


関節を動かすことは、眠ってしまっている脳へのルートを刺激し、麻痺した手足をどう動かせばいいかという「脳からの出力」を引き出す準備になるのです。



2. 関節が硬いままだとどうなる?「過剰な力み」の悪循環

もし、関節の動きづらさを放置したまま歩いたり手を動かそうとすると、どうなるでしょうか。



答えは、「余計な筋力が必要になり、過剰に力んでしまう」です。



ギシギシと動かない関節を無理やり動かそうとするため、脳は必要以上の強い命令を出してしまいます。これが、麻痺特有の「ガチガチに力んでしまう現象(共同運動など)」を助長させてしまう原因になります。


逆に言えば、関節可動域トレーニングによって関節の摩擦を減らし、動きやすさを整えてあげるだけで、余計な力みが抜け、楽に手足が出せるようになることがあります。



3. ただ回すだけではダメ!こだわりの関節リハビリに必要な4つの視点


ラクシオンでは、関節可動域トレーニングを行う際に、以下の「4つのこだわり」を徹底しています。もしご自身で自主トレを行う際も、ぜひこの視点を意識してみてください。


① 回数と頻度: 

目的に合わせて、十分な回数を行っているか。


② 運動の様式: 

セラピストに動かしてもらう(Passive)、手伝ってもらいながら動かす(Assisted)、自分で動かす(Active)のどれが今最適か。


③ 脳へのコマンド(意識): 

「とりあえず動かす」ではなく、自分が動かしたい方向へ正しく脳から命令を出そうとしているか。


④ 触れ方(触刺激): 

セラピストが(あるいはご自身の健側の手で)どこに触れて関節の動きを感じ取っているか。



手足の筋力を鍛える(筋力増強運動)ことも大切ですが、その前にまず、この4つの視点で関節のコンディショニングを行うことが大前提となります。




4. まとめ:関節を「動きの味方」に変えていきましょう

関節の本来の役割は、体重をガチッと支えることではなく、「スムーズに動くこと」にあります。


リハビリの時間をただの作業にせず、関節のセンサーを呼び覚まし、脳への感覚フィードバックを育てる時間に変えていきましょう。それだけで、あなたのリハビリの効果は劇的に変わるはずです。


「自分の今の自主トレ、正しく関節を動かせているかな?」

「もっと楽に手足を動かすコツを知りたい」

という方は、ぜひ一度ラクシオンにご相談ください。


専門の理学療法士が、あなたの体に合わせた最適な関節コンディショニングをご提案します。


お問い合わせをお待ちしております!


※個別の症状やリハビリ内容については、必ず担当の医師や療法士にご相談ください。






ラクシオン代表の小宮良太

執筆者:小宮良太(片麻痺専門トレーニングジム ラクシオン.代表)

登録理学療法士

脳卒中認定理学療法士

スポーツ理学療法認定理学療法士

大学病院、リハビリ病院、クリニック、訪問リハビリなど臨床経験15年以上

2022年4月より独立 ラクシオン開業(自費リハビリ 神奈川)



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