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【認定PT解説】リハビリがガラリと変わる「感覚」の秘密:あなたと私の見ている世界は違っていい

  • 執筆者の写真: 良太 小宮
    良太 小宮
  • 7月8日
  • 読了時間: 7分

公開日:2026/7/8

執筆者:ラクシオン代表 小宮良太

ラクシオンのセラピストがクライアントの麻痺の手をトレーニングしている様子


「私が見ているこの青色と、あなたが見ている青色は、本当に同じ色なのだろうか?」



そんな疑問を抱いたことはありませんか?



同じ言葉を使っていても、お互いが感じている味や音、触った感覚が完全に一致しているという確証は、実はどこにもありません。フランスの哲学者デカルトが「我思う、故に我あり」という言葉に行き着いたように、私たちの感覚は究極的には「本人にしか観測できない主観的なもの」なのです。




脳出血や脳梗塞を発症したあと、「手の感覚が鈍くて、どこまでが自分の手で、どこからが机なのか分からない」「誰もこのもどかしさを分かってくれない」と、深い孤独や不安を感じていませんか?




それ、当然の感情です。

なぜなら、感覚はあなただけの特別なものだから。



だからこそ、「誰も分かってくれない」と嘆く必要はありません。



そもそも違って当たり前なのです。大切なのは、あなた自身の脳と体が求める「その感覚」を、もう一度自分で正しく育てることです。




今回は、麻痺した手足の動きを向上させるために絶対に欠かせない「感覚のメカニズム」を、専門的な視点から分かりやすく紐解いていきます。




1. 脳と体を結ぶ「2つのパトロール機能(モニタリング)」


私たちの体には、常に内外の情報を監視している「管制塔」と「パトロール隊」が備わっています。これが感覚のモニタリング機能です。



① 外部モニタリング(自分と世界の境界線を知る管制塔)

外部モニタリングとは、自分の体の外で起こっていることを察知する機能です。自分と、自分以外の世界との「隔たり」を教えてくれます。



例えば、椅子に座ったときにお尻にクッションの感覚が伝わるからこそ、「ここが私のお尻で、ここからが椅子だ」と自覚できます。麻痺によってこの感覚が分からなくなると、境界線が不明瞭になり、体をどう支えていいか脳が混乱してしまいます。




② 内部モニタリング(体内のパトロール隊)

こちらは体内のエラーチェックや、動きの監視を行う機能です。



私たちの筋肉や関節の奥深くにはたくさんのセンサーがあり、体が動くと「今、ここがこれくらい動いたよ!」とパトロール隊が脳に知らせてくれます。この機能があるからこそ、立ち上がったときに「自分の足にしっかり力が入っている」と感じられるのです。




2. 運動をスムーズにする「五感+2」の隠された主役

視覚や触覚などの「五感」は有名ですが、実はリハビリにおいて、五感だけではスムーズな運動は困難です。ここに「前庭感覚(ぜんていかんかく)」「深部感覚(しんぶかんかく)」という2つの隠れた主役をプラスする必要があります。



前庭感覚(頭の傾きをキャッチ):

 耳の奥にあり、頭がどの方向に傾いているかを無意識に感知してバランスを保ちます。




深部感覚(体の位置や動きをキャッチ): 

先ほどの内部モニタリングで活躍する、筋肉や関節の動きのセンサーです。



この2つが合わさることで、私たちは目で見なくても「自分の手足が今どこにあって、どう動いているか」を把握し、滑らかに動くことができます。





3. 手のひらに隠された4つの超精密センサー

特に「手」のリハビリを進める上で知っておきたいのが、皮膚の階層(浅い部分から深い部分まで)に隠された4つの優秀なセンサー(受容器)たちです。



センサーの名前:マイスナー小体

役割(キャッチするもの):表層の「振動」

特徴:物に触れた瞬間のピリッとした動き




センサーの名前:メルケル盤

役割(キャッチするもの):表層の「圧力(ゆっくり)」

特徴:じわっと押し当てられる力




センサーの名前:ルフィニ終末

役割(キャッチするもの):中層の「皮膚の伸び(ズレ)」

特徴:皮膚が引っ張られる感覚




センサーの名前:パチニ小体

役割(キャッチするもの):深層の「速い振動・変化」

特徴:壁をすーっと滑らせたときの摩擦など



「触っている感覚」と一言で言っても、脳の中(一次感覚野など)では、これら複数のセンサーからの情報を総合的に処理して「あ、これはツルツルした壁だな」「これは柔らかいクッションだな」と理解しています。



麻痺の回復を狙うには、「ただ触る」だけでなく、これらのセンサーを階層別に正しく刺激してあげる必要があります。



皮膚の中の感覚センサーのイメージ図


4. 麻痺した体を呼び覚ます!感覚を味方につけるリハビリのヒント


では、これらのセンサーを刺激して、脳に「動かし方」を思い出してもらうにはどうすれば良いでしょうか?当ジムが大切にしている視点をご紹介します。



① 「体重をかけて、動く」が鉄則

手足の深い部分にあるセンサー(パチニ小体など)を刺激するには、ただ体重を乗せてじっとしているだけでは不十分です。



「体重をしっかりと乗せた状態で、動かす(荷重練習)」こと。この関節の運動が伴うことで、脳へのポジティブなフィードバックが圧倒的に強くなります。




② つながり(筋膜ネットワーク)を意識する

私たちの体は、頭から足先まで、全身が「筋膜」という一枚のパッケージで包まれています。



そのため、例えば首を少し動かしただけで、腰や足の筋肉の張り具合まで変化します。手足だけに執着せず、体幹(体の中心)や脚の付け根といった、大きな筋肉のつながりを一緒に育てていくことが、結果的に手足の軽さや「装具を外していくステップ」へと繋がります。




5. まとめ:あなたの「主観」からリハビリを始めよう


感覚は、あなただけの主観的なものです。



あなたの心理状態や不安な気持ちによっても、感じ方はガラリと変わります。「誰も分かってくれない」と一人で抱え込まず、「私は今、こう感じるけれど、どうアプローチしたらいい?」と一緒に紐解いていきませんか?




あなたの今の体の状態(外部・内部モニタリングのどちらを優先すべきかなど)を評価し、あなたに最適化されたオーダーメイドの刺激とトレーニングを提案します。



「私の感覚、ちょっと変かもしれない」「このもどかしさを聞いてほしい」



どんな些細なことでも構いません。ラクシオン(R-accion.)では、あなたの感覚をお聞きし、味方につけるための無料相談や体験コースをご用意しています。



いつでもお気軽にご連絡ください。あなたの歩みを全力でサポートします!



※個別の症状やリハビリ内容については、必ず担当の医師や療法士にご相談ください。







参考文献:

“感じる脳”のメカニズムを解明-皮膚感覚を司る神経回路の発見-理化学研究所2015年5月22日https://www.riken.jp/press/2015/20150522_1/

「感じる脳を紐解く 理化学研究所 RIKEN NEWS No.411 Sep2015」https://www.riken.jp/medialibrary/riken/pr/publications/news/2015/rn201509.pdf

直感の更新メカニズムの解明理化学研究所2026年5月30日

「触覚刺激および筋収縮時の大脳皮質活動 理学療法学2010年」

「身体運動時の体性感覚情報の働き 体力科学2016年」







R-accion.代表の小宮良太

執筆者:小宮良太(片麻痺専門トレーニングジム ラクシオン.代表)

登録理学療法士

脳卒中認定理学療法士

スポーツ理学療法認定理学療法士

大学病院、リハビリ病院、クリニック、訪問リハビリなど臨床経験15年以上

2022年4月より独立 ラクシオン開業(自費リハビリ 神奈川)



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