【認定理学療法士解説】その装具、あなたの「動き」を支えていますか?—「重い・煩わしい」を超越する装具選びとリハビリの視点—
- 良太 小宮
- 4 時間前
- 読了時間: 7分
更新日 2026/06/14
執筆者:小宮良太(脳卒中認定/スポーツ認定/登録理学療法士)

装具に対する「本音」と向き合う
突然、動かないカラダ
寝ても覚めても、やはり動かないカラダ
装具なんてこれまでの生活の中では、みたこともない、聞いたこともない
何せ重いし、ダサいし、履くだけでもやっとだ
これなら、ちょっと不自由でも履かない方がいいや
ここで誤解を解きたいと思います。
装具は、ただ重くて、煩わしいものではありません。
十分な説明がなく、装具療法が担うべきリハビリの役割が何かを知らないままで装着していると、次第に「重くて、煩わしい」ものになっていくのです。
装具療法は適切に処方され使いこなせれば、それだけであなたのカラダは強化されていきます。
装具療法とは本来的にそういうものです。
つまり、装具療法にとって、装具はあなたのカラダを前進するための運動をサポートする相棒です。
装具の本当の役割:表の顔と裏の顔
装具療法とは、今のカラダの働きをサポートするためのものです。
(※ヘルメットなど身体を保護するための装具もありますが、脳卒中のリハビリでは一般に動きをサポートするものを示します)
もしあなたの動きをサポートしていないのであれば、そんな装具は不要です。
それはあなたのチカラが強化された証拠かもしれません。
それは装具療法の処方が適切ではなかったかもしれません。
では具体的にどんな動きのサポートしているのか?
大きく分類すると、2つだけです。
それは、「支えること」 と 「抑えること」の2つです。
どちらか一つの場合もあれば、両立させる場合もあります。
「支えること」
これは、単純に体重を支え、一歩を踏み出すことをサポートします。このサポートにより、十分な体重をかけることができ、安心して麻痺した脚の支えをつくることができます。
「抑えること」
これは、麻痺特有の「内反(足首が内側に返る)」や「痙縮」による過剰な緊張を抑え、変形を予防することを目的とします。これにより、二次的な拘縮や痛みの予防になり、今後のリハビリテーションの継続を円滑に進めていくことに繋がります。
ときには、これを両立させ、ブレーキをかけるように抑制しながら支える、なんていうものもあります。
私たちセラピストと医師、装具士は、この二つの視点を持って、あなたの動きに合わせて最適な提案をしていきます。
その上で、最終的に医師の判断のもとに処方されます。
そして、私の臨床経験15年以上で言えることが一つだけあります。
「複数の装具の候補があがったら、支持力や抑制力が強いものを選ぶこと」
つまり、装具を装着する側からすると、重くて、煩わしい方を選ぶことになります。
「これってマズい?」歩きの3つのサイン
装具は本来的に、「支えること」と「抑えること」を目的としています。
装具で歩くと、次の歩き方になってしまう方は、装具が適切に働いていません。
▼反跳膝(膝が突っ張ってしまう、カクンっと伸び切ってしまう:バックニー)
歩いていると、膝が突っ張ってしまう方はこちらかもしれません。
私たちの歩きは、膝が曲がったり伸びたりを繰り返します。
これが本当に微妙な加減で調整されています。
伸び切ってしまうことは本来的にあり得ません。
この反跳膝を放置しておくと、膝がそれ以上伸びない方向へ反り返るように変形してしまうことがあります。
また反跳膝はスムーズな歩きの再構築にも影響します。
つまり、装具を使用してコントロールされるべき症状です。
これを放置してはいけません。
装具をつけていてもこの反跳膝が生じる場合は、装具が合っていません。
▼膝折れ(膝がガクッと崩れてしまう:バックリングニー)
歩いている最中に急に膝が曲がってしまい、うまく体重を支えることができない状態です。
本来的に私たちの歩きは膝が曲がった状態でも踏ん張ることができます。
それは太ももの筋肉の働きによるものです。この筋肉が弱くなってしまうと踏ん張りきれずに、膝が抜けてしまいます。
この状態で歩き続けるとどうなるか?
怖くて体重を十分にかけることができません。
十分な体重をかけることができず、歩きがままならない状態になってしまいます。
これを放置していはいけません。
これを装具によって支えてあげることが必要です。
装具をつけていてもこの膝折れが生じる場合は、装具が合っていません。
▼内反(筋の緊張と共に足首が捻れてしまう現象)
歩いていると、脚の筋肉の緊張の高まりと共に足首が捻れてしまい、適切に地面を捉えることができず、踏ん張ること、バランスをとることができなくなってしまう状況です。
私たちヒトは、動物は、その環境に適応しようと反応します。
それは脳の障害が生じても同じです。
つまり、今の身体の状態でなんとかカラダを支えよう、動かそうとします。
内反もその結果として生じることが多いです。
これを放置しても、動きやすくなることはありません。
装具によって適切にサポートし、抑制することが必要です。
しっかりと固定されているから内反が抑制される訳ではありません。
装具が適切にカラダの動きをサポートすることによって、過剰な筋肉の働きを抑制することができ、内反を抑えることができます。
装具を外していくための考え方とは?—機能向上に直結する考え方—
歩きのための装具は基本的に脚をサポートします。
サポート力の高い順に考えると、脚全体の装具、膝から下だけの装具、足首だけの装具となります。
つまり、だんだんと短くなっていきます。
これは、脚の付け根から良くなっていくとも解釈することができます。
装具を外したい、軽いものにしたいとお考えであれば、体幹や脚の付け根の筋肉の動きを育てていくことが何よりも重要になります。
そしてよく考えてみましょう。
脚の付け根の筋肉たちの太さと、足首周りの筋肉たちの太さは、どちらが太いですか?
脚の付け根の方が大きな筋肉が多く、足首よりも太いですよね。
つまり、パワーの大きな筋肉は付け根の方に集中しているんです。
ここを強化せずに、装具だけを軽くすることや外すことばかりを考えても、なかなかうまくいきません。
装具を「卒業」するためにも、装具に頼らないカラダつくりをしませんか?
自分に近い(今の)快を優先し、
遠い(未来の)快よりも近くの快、
遠くの不快よりも近くの不快を避ける
これを話してくれたのは、雑誌「カラダにいいこと」の編集長でした。
装具が重いと感じる方は、すでに自分の脚自体を重く感じている方が多いです。
だから、さらに重くして歩くのはキツイ。
おっしゃる通りです。
装具は、とてもでありませんが良いデザインとはいえません。
装具は、煩わしいものです。
だからこそ、早く外したい!装具なしでも動けるようになりたい!
それで良いと思います!
着実に歩んでいきましょう!
そのために、一緒に動きを強化するためのトレーニングをしてみませんか?
R-accion.(ラクシオン)では、トレーニングに関するお問い合わせ、装具に関するお問い合わせを受け付けています!
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※個別の症状やリハビリ内容については、必ず担当の医師や療法士にご相談ください。
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執筆者
小宮良太
片麻痺専門トレーニングジム ラクシオン.代表
登録理学療法士
脳卒中認定理学療法士
スポーツ理学療法認定理学療法士
大学病院、リハビリ病院、クリニック、訪問リハビリなど臨床経験15年以上
2022年4月より独立 ラクシオン開業(自費リハビリ 神奈川)
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